THE STORY
二つの横顔
深い緑と墨色の溶岩石。あたたかい風が吹き渡る八丈島。
その穏やかな姿の影に、自然の猛威や飢饉の記憶、そして流刑地
としての過去があります。

八丈に流された罪人たち
江戸時代。
幾人もの罪人が八丈島に流されました。
島民を悩ます者もいた一方で、
彼ら彼女らはさまざまな風俗をもたらし、
八丈独特の文化と数奇な物語を残したのです。

焼酎造りの伝導師、丹宗庄右衛門
密貿易の罪により流刑に処された薩摩の商人。
故郷から蘭引を取り寄せ焼酎造りを伝えた庄右衛門は、八丈島に笑顔と繁栄をもたらし、「さつまじい」と呼ばれ慕われました。

八丈史上唯一の抜け舟。佐原喜三郎
長者の息子のエリート侠客。
殺人罪で流された後、
元遊女の花鳥と恋に落ち、
共に前代未聞の脱島に成功。
江戸で捕えられてからは模範囚として生きるも、
釈放直後に病死しました。

赦免を待って五十三年。八丈島を愛
した近藤富蔵
7人もの命を奪った罪で遠島に。
罪の意識から、
島では蚊すら殺さずに過ごしました。
30年以上かけ島の地理や文化を記録。
後に赦されるも、生涯愛した八丈島で最後を迎えました。






